よみもの特集 インターネットの子どもたち

いまインターネット最前線にいる子どもたちは、何をしているのでしょうか。学びや遊び、コミュニケーションなど、子どもの諸活動は、インターネットの普及とともに、どんどん変化しようとしています。現状を報告しつつ、子どもたちがどうしたらコンピュータを自己表現のための創造的メディアとして使いこなせるようになるかを考えます。

  • 第一章 インターネットがやってきた
  • 第二章 インターネットで学びは変わる
  • 第三章 インターネットを教室へ1
  • 第四章 インターネットを教室へ2
  • 第五章 インターネットで英語を学べるか
  • 第六章 ネットワークで起きたこと、起きていること
  • 第七章 インターネットの可能性
  • あとがき

本コンテンツは岩波書店 (1997/07)より発刊された「インターネットの子どもたち (今ここに生きる子ども) 」の内容を掲載しております。
掲載内容は執筆された時代背景を考慮し、書籍発行当時のままになっております。
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あとがき

あとがき

 この本は、本シリーズの他の本とは少し違って、子どもたちの「今」より、子どもや私たちの「これから」を考えたくて書きました。

 人が何かを学ぼうという時にまず欲しいのは、良質で豊富な資料、データだと考えています。だからこそ、ネットワークによって原理的には好きなときに好きなだけの情報が手に入ることになり、これからの学びが大きく変わる可能性があると思っています。今後の課題を並べた本になってしまいましたが、吟味の対象にしていただければ幸いです。

 本書で紹介したICLNの仲間、特に初めにやろうと言い出したモシェ・コーエンとジム・レビン、マーガレット・ライエルに心からの謝辞を送ります。当時活動のほとんどを一緒にやってくれた杉本卓さんにも感謝します。また、富山の小学校からさまざまなアイディアでネットを活用してみせてくれたのは、戸塚滝登先生と、その生徒さんたちでした。日本での実施にはアメリカアップル社、電気通信普及財団、青山学院女子短期大学から主に支援をいただきました。本文に書いた多くの事例は、青山学院女子短期大学で六年間にわたり実施した教育学ゼミに参加してくれた学生さんたちの活動によるものです。最近その学生さんの一人から「あれはインターネットのはしりだったのですね」という手紙をもらいました。彼女たちや、この時期にあちこちで私の話を聞いて議論したり協力したりして下さったさまざまな方たちにも改めて感謝します。

 最近はネットワーク利用に慎重論も多くなってきたように思います。アメリカではネット上での論文代筆業が問題になっているそうです。でも、こういう話は、いつの時代でも形を変えてあることですし、道具だけのせいにすべきではないでしょう。学びが良質のデータの編集とその再吟味から出発すると考えて、それができるような形でネットワークそのものを育てていきたいと思っています。

 最後に、ほんとうに辛抱強く私の思いを本にして下さった岩波書店の山田馨さんにお礼をいいます。ありがとうございました。

一九九七年六月
三宅なほみ

 
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