「今、知識構成型ジグソー法を知って興奮しているけど、あなたは、ジグソー法をセールス交渉術として既に使っているし、意図的にお客さんへの情報を抜いてお客さん自身に考えさせるビジネス的効用を経験的に知っていたと思うの。」
教育環境デザイン研究所を創設するきっかけは、2010年、本郷にあった研究室で日本を代表する認知科学者で知識構成型ジグソー法の生みの親・三宅なほみさんに、初めて会った日のこの一言。
その10年前には、サンフランシスコのカフェで「あなたは、何回失敗した? それでは足りない…6回失敗してスタートラインに立てる。」投資家から初めて資金調達できた日の一言。
そして、今、代表理事を努めます小原聡より一言申し上げます。
学校教育現場に限らず企業も含めた人材育成の場では、グローバリゼーションによるコンピテンシベース教育の名のもとに、否応なしに個人達成主義といった欧米的価値観へ変容しつつあるのだと思います。協調的関係志向の日本的価値観の土壌の上に欧米的価値観を適切に形成するには、「空気を読んで発言を控える」といった日本的な対話手法ではなく、「対話によって自身のアイデアがより良くなる」というワクワク・ドキドキ感を共有する場の設計が教育現場や職場に必要であると感じます。そして同時に、教育環境の設計なしに、個別最適化への邁進が、新たなフィルターバブルを生む可能性に注意が必要とも感じます。
本社団のミッションである「教育の未来はみんなで創る」のためのビジョンは、認知科学的に効果検証のできるアクティブラーニングのための教員研修を無償で提供し、子供たちと教師が一体となって、自分のアイデアを周りの人がより広く深く想像を超えて良いものにしてくれる興奮(共感力)にきづかせ、子供等の多様性(そして失敗)を許容する場をデザインすること。そして、その先にある企業においても、今ある職場を社員の未来に向かってあるべき姿をデザインする場へとお手伝いしたいと思います。企業から頂戴する社内研修デザインコンサル料や、公教育支援へのご寄付を前述の教員研修の無償化への原資とし、教員研修参加者数を現在の年間2000人から年間2万人の受け入れができる体制構築を目指します。
現職、OB・OGの教員の皆様には、本活動の横展開を、そして、企業の皆様には本活動を支える資金と変化する人材像への提供をお願いし、ご挨拶にかえさせて頂きます。
小原 聡 1985年総合商社入社。アジア・南米市場で、マーケティング&ファイナンスを担当。パキスタン、ブラジルの関連会社代表として駐在。2000年より社内再編、M&A、ベンチャー投資を担当。2007年以降、日米でリチウムイオン電池設計ベンチャーやビルエネルギマネージメントA Iベンチャーを起業。商社での事業投資先へ送り出す人材育成に行き詰まりを感じ現在に至る。現在は技術マーケティング(Marketing Facilitator)を生業とする。