実践のための知を探る
大学理系と高校の知をつなぐ新しい高大連携を求めて
開催趣旨
今、時代は、現実に生きて働く「知」力を求めている。大学はグローバル化を迎え、理系を中心に専門知を現実社会の問題解決に活かす実践的なアプローチが必須になりつつある。これを可能にするためには、大学の知を準備する高等学校での教育の変化が欠かせない。私たち大学発教育支援コンソーシアム推進機構と大学総合教育研究センターは、大学学部生、大学院生、高校生が一緒になって社会的な課題に取組みながら、答えを一つに限定せず、一つの解が次の問いを生む実践的な学びを模索する新しい高大連携プロジェクトを開始する。
その開始にあたって本シンポジウムでは、大学側からその趣旨と具体的な形を提案し、教育界からの提言と要望を得て、新しい高大連携実現のためのビジョンを明らかにしたい。今双方の間にあるコンテンツ・ギャップを解消し、高大連携して世の中の変革に結びつく創造的な実践を可能にする知を探る。
日時
場所
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/facilities-inside/theater.html
※駐車場はございませんので、ご来場の際は公共交通機関をご利用ください
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html
(入場料無料、要申込み)
参加申込
info(at)coref.u-tokyo.ac.jpに、
件名を「9月14日シンポジウム参加申込み (お名前)」として、
(1)お名前(ふりがな)(2)所属(3)メールアドレス
をお送りください
主催
プログラム
13:00 | 開催の辞 野城智也 東京大学副学長(初中高等教育連携担当) |
13:15 | シンポジウム趣旨説明 吉見俊哉 東京大学大学総合教育研究センターセンター長 |
【大学からの提言】 | |
13:30 | 大和裕幸 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授 |
14:10 | 正木春彦 東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授 |
14:50 | 休憩 |
【教育界からの提言】 | |
15:05 | 合田哲雄 文部科学省 高等教育局 企画官 |
15:45 | 関根郁夫 埼玉県教育委員会 教育長 |
14:50 | 休憩 |
【フロアからの提言】 | |
16:40 | 実践知を軸とした高大連携をどう実現すべきか 司会 三宅なほみ 東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構 副機構長 |
2013年9月14日(土)東京大学大学総合教育研究センター×東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構シンポジウム「実践のための知を探る 大学理系と高校の知をつなぐ新しい高大連携を求めて」を開催しました。
【開催の辞】・・・野城智也・東京大学 副学長(初中高等教育連携担当)
野城副学長から高校と大学の間にある「死の谷」を解消するために大学側から提供できる情報について説明を行っている。
【シンポジウム趣旨説明】・・・吉見俊哉(東京大学 大学総合教育研究センター センター長)
大総センター・吉見俊哉センター長が「大学教育の再定義は、高大連携から」というテーマで新しい形の高大連携を通じて大学教育のグローバル化における基盤がいかに形成されうるのかについて話す。
第一部〈大学からの提言〉
第一部では、東京大学の工学および農学研究科の教授から、それぞれの専門分野を実践知の側面から高大連携へいかに接続していけるかについて語ってもらった。
【工学から高大連携を考える】・・・大和裕幸(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授)
大和裕幸教授は、数学や物理など、基礎学力が形成される高等教育から工学技術という専門知に興味を抱いていくためには、高校生と大学生、大学院生が一緒に学び合う環境が欠かせないと言う。
【生物の多様性をどう考え、どう教えるか】・・・正木春彦(東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授)
微生物の研究を通じて、「種の多様性」から「遺伝的多様性」へ生物学、生態学を捉える観点を改める必要があると主張した正木春彦教授。「真理は一つではない」という考え方は、大学生や院生だけでなく、高校生の学びにおいても重要である。
第2部 〈教育界の提言〉
第二部では、文部科学省高等教育局と埼玉県教育委員会を中心に教育界から高大連携をどう捉えているかを語ってもらった。
【成熟社会に相応しいK-16教育への転換と高大接続】・・・合田哲雄(文部科学省高等教育局 企画官)
合田哲雄企画官は、マンパワーを高めていくために、汎用的能力をはぐくむ具体的なステップが明確化される必要があると述べ、学びをダイアローグとチームワークに基づいた行為に価値転回していく上でCOREFの活動に期待を寄せた。
【自助・共助・公助を育てる教育と小中高大連携】・・・関根郁夫(埼玉県教育委員会 教育長)
関根郁夫・教育長は、子供たちに一人ひとりの生きる力を伸ばし、共助の仕方を学ぶ上で子供同士、教員同士、学校同市が連携するネットワークづくりの重要性を訴え、新型高大連携事業が高校生と大学生、院生、そして教員が自助・共助・公助できる場となることを期待した。
第3部 〈フロアからの提言〉
第三部では、大学発教育支援シンポジウム推進機構(CoREF)とフロアの来場者による提言、登壇者との質疑応答が行われた。
【CoREFからの提言】・・・三宅なほみ(東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構 副機構長)
フロアからの提言に入る前に今後、新しい高大連携事業において中核となる大学発教育支援シンポジウム推進機構(CoREF)から事業計画の構想が述べられた。大学理系と高校の知をつなぐ新しい高大連携は、大学が持つリソースを高校と一緒に活用し、行政に支えてもらいながら一緒にゴールを生み出していくモデル事業を目指す。
【ミニワークショップ】
三宅なほみ・副機構長の提案により、フロアの来客者同士がこれからの高大連携について自由に意見を交換する時間が設けられた。活発な議論が行われる会場の様子。
【質疑応答】
新型高大連携事業に関する鋭い質問や今後の活動にぜひ反映してほしい点などが多く寄せられ、フロアと話題提供者の間で双方向な意見交流が行われた。