共同検討授業 中2理科 「雲」 授業研究会

GKumo_mtg

  • 日時:
    2009年11月27日(金)13:30~14:30
  • 場所:
    宮崎県五ヶ瀬町三ヶ所中学 被服室
  • 授業者:
    木村光伸先生(鞍岡中学)・倉永愛子先生(三ヶ所中学)

  • 助言者:
    三宅なほみ、斉藤萌木(CoREF)50名程度の見学者

この授業研究会では、

  • 五ヶ瀬町で木村教諭が実施した「雲」に関する授業の後に見学者が集い、
  • 木村教諭から授業の振り返りをしたうえでCoREFから協調学習の説明を行ったうえで、

授業内容についての意見交換や質疑を交わしました。木村教諭が実施した授業各自が閲覧した後に授業について話し合いを行いました。以下に、やり取りの一部を紹介します。

授業内容と子どもの反応

木村教諭 授業は時間との戦いでした。水蒸気の資料の内容と、「水蒸気」というマグネットに書いたキーワードの表現が合致していないように思ったので、ここの説明が不足していたように思います。協調学習を取り入れた感想は、資料作成が大変ということ。しかしそれだけの価値があると思う。読む・書く・話す力という学習のスキルも身につくが、「資料を知っているのは1人だから説明するのだ」という所で理科の教科についてそこまでするのがすごいと思います。子どもたちの記述に「自分で答えを導き出すのが楽しい」と書いてくれた人がいました。そういう授業ができるのでは、と思っています。
倉永教諭 普段は前向きに取り組む真面目な子どもですが、ご覧になる方が多かった関係でカチコチになっており、集中して資料を読み込むのが困難だったと感じました。彼らは幼いときから自然の豊かな所で育って雲を見ているので、感覚は豊かなはずです。今回は科学的な目線で事象を見つめるという、難しいことに挑戦する喜びを感じてくれたのではないかと思います。
三宅 CoREFでは瞬間最大学力ではなく、学んだことが学んだ場の外でも適宜役立つPortableな学びを支援したいと思って活動しています。レクチャの記憶保持についてデータを取ったことがあり、驚くほどその保持率が低い(2%)こともわかっています。先生が教えるだけでなく、子どもたちが自分で知識を作っていくような活動を支援したいと思っています。この思いから教員向けのワークショップを実施したりということを通じて、五ヶ瀬町の教育長とも理念で共鳴しあって一緒に授業を検討するという運びになっています。

質疑「理科の授業だろうか?」

質問者 理科の授業を見学するつもりだったのに、国語の授業のようでした。そこで2つ質問です。理科の授業であれば最初にアンケートではなくて事象を説明するのではないのでしょうか。それから理科の資料ではなくて、実験などをさせてしっかりとした体験をさせるべきではないのでしょうか。なぜ資料にしたのか、そこをお聞かせください。
木村教諭 たしかに実験をするというやり方もあったかもしれません、そこはまったく考えなかったです。
三宅 実験を見せることはできる授業ではありますけれども、互いが違うという見地に立っていませんので、実は最初の段階で子どもたちが持っている見方というのがそれぞれ違う、ということを了解可能な形で見える形にしてしまう、ということが大事になるのではないでしょうか。科学者は実験で知るというより資料を読み込んで理解するということも大変重要な仕事になってきますので。

質疑「前提知識はあったか?」

質問者 曇は水蒸気で出てきているとか、下の方にあるのが雲になっている、ということを子どもたちはわかっていたのでしょうか。元の知識としてあったのか、ないままに3つの知識を順に並べるってさせてしまったのではないでしょうか。
木村教諭 水蒸気に関しては、初めての時間だったので個人差がかなりあったと思います。
斉藤 また、雲が水蒸気であるという基礎知識の程度は資料作成時の予想に反した所があり、反省点です。
質問者 説明なしで順番を示すのが気になりました。それで体系的な知識ができたのでしょうか。これが協調学習でしょうか。
木村教諭 回ジグソー法をやった際は時間不足でまとめが出来ず、「どうしても答えが知りたかった」という声がかなりありました。そこで、今回は何かしら必要だと思い、子どもの気持ちに答えました。しかし、説明ができれば知識が再構築できるのではないかとは思います。
斉藤 基本的な概念というのは、事実についての小さな答えがたくさん積み重なって、大きな答えとして獲得されるものだと思います。子どもたちには今回自分たちが話し合って出したと思っている答えがあるので、それをもとに次の課題というか、探究していくことで、大きな答えにたどりつくことができると思います。その意味で、次につながる学びがあったのだと思います。
三宅 本当は各自が発表する時間を取ると、良いと思います。話している人が主役に見えますが、課題を解いている人を聞いている人たちが考えている、見ている人たちが自分の考えと人の考えを突き合わせて行く、という事が起こせるはずです。しかしその時間がないので、「各グループの考えが違うかもしれない」というところまでは行きたいと考え、今回の「順番を考える」流れに行きつきました。
私たちは、実は先生が答えを示しても「違う」といいたかった子どもさんがいたのではないか、チャンスがあれば自分は話したかった、という生徒さんがいたのでは、と期待しています。