理事挨拶

この教育環境デザイン研究所(略称:Nahomi Institute;NI エヌアイと呼んでください)は、三宅なほみ先生が亡くなる2015年5月に病床で、小原聡代表理事と練った構想に沿って創りました。

三宅なほみ先生の人となりは、このHPをご覧ください。日米を股にかけて1980年代から人の賢さを解明する学問分野 認知科学を育て、90年代からは人の賢さを現場で引き出す学習科学という分野の誕生に貢献しました。その思想を一言でまとめれば、「すべての人に学ぶ力はある」というものでした。

2008年からは東京大学CoREFで、どんな学校の児童生徒にも潜在的にある学ぶ力を引き出すための授業の型「知識構成型ジグソー法」を開発・実践し、児童生徒の学びの深まりと深まる学びの面白さ、授業づくりの深みにはまる先生方、それを支える教育行政の方の熱意と手応えを引き出してきました。

なほみ先生逝去後もCoREFは全国2千名超の先生方、様々な関係者の助けを借りて、飯窪真也・齊藤萌木・私白水始を中心に活動を続けてきました。気づけば、この取組も、授業実践のテクノロジ支援に本気で付き合う開発者、学校教育の支援と人材育成への応用に興味をお持ちの産業界の方々、新しい学習評価や教員養成・研修、そしてICTの教育活用のモデルに活用したい教育行政、教員養成大学の方々など一層多くの方を巻き込むことになりました。

そこで、この度、CoREFを核として教育環境デザイン研究所を本格始動させることとしました。すべての人の学ぶ力を引き出せる教育環境をデザインする。そのための対話をみなさんの間に仕掛けて支える-というよく考えるとなかなか担い手がいない取組を一手に担って繰り広げていきます。それが10年経ったとき、学習科学センターというものの意味かとわかっていただくのが願いです。

白水 始 2000年中京大学情報科学部認知科学科にて三宅先生と共に働く。2012年国立教育政策研究所(国研)勤務、2016年東京大学にてCoREFを引き継いだ後、2020年から再び国研勤務。博士(認知科学)。