京都市教育委員会・京都大学
京都市では、平成23年度までの市政運営の羅針盤となる「京都未来まちづくりプラン」の「政策推進プラン」の1つに位置づけて大学発教育支援コンソーシアム事業に取り組んでいます。具体的には,京都大学と京都市教育委員会,関係NPO等が連携し,大学における最先端の研究成果を学校現場の実践に活かすため,効果的なシステム・教材の開発を進めていきます。
■平成21年度の取組
- 自学自習システムの開発(算数・数学分野)
京都大学の協力のもと構築した自学自習システム改良の検討と試行を継続し,その効果を検証します。これと並行して,学校現場のニーズにあった実施方法を工夫し,算数・数学以外の教科でのシステム開発も視野に入れつつ,より多くの学校で活用できるように進めていきます。 - 教材開発(理科・科学教育分野)
今年度新たに,理科・科学教育の分野において,京都大学と京都市青少年科学センター等が共同して「プロジェクトチーム」を設け,新学習指導要領に対応した児童・生徒の科学的思考力や探究する能力等を高める先進的な教材開発を進めていきます。合わせて,共同開発にあたり,京都市青少年科学センターは,最先端の知識を得ることを通してさらに専門能力を高めていきます。
早稲田大学
JSL( Japanese as a Second Language)の児童生徒の課題に着目し、鈴鹿市教育委員会との協定締結後、JSLバンドスケールを媒介にした、さまざまな支援体制の構築を図った昨年度の計画をさらに進展させ、他の自治体や教育機関との連携を強化し、JSL児童生徒に対する教員の教科学習や学校生活支援力の養成を拡充することを目的としています。
■平成21年度の取組
教育実践の展開をまとめたDVDを援用して、新たな大学発教育支援システムが構築できるよう、継続的な取り組みを行います。
- 教材案のCD化、および研修プログラムへの参加状況や授業実践をビデオ録画し、他の地域での研修プログラムの実施へ利用できるように資料としてDVDにまとめます。
- 上記の研修プログラムの完成後、JSL教員研修を実施し、制作側と研修参加者とともに検討会を行い、一連の教員研修プログラムの成果を公表します。
お茶の水女子大学
小学校現職教員の観察・実験力を養成することを目的として、その手法を開発し、教員研修の実施や、科目間連携を意識したコンテンツ開発を行います。また、中高レベルにおいては、生きた生物を身近に観察できる教材を開発し、理科のみならず生命を尊ぶ姿勢をカリキュラムを作成・実施します。さらに、理科観察・実験センターを設置・運営します。
■平成21年度の取組
- ウニのポケット飼育法・教員研修(中高向け)
お茶の水女子大学湾岸生物教育研究センターにて、生きたウニを身近に観察できるウニのポケット飼育法・教員研修を実施し、教育現場での実践を支援する。理科のみならず生命を尊ぶ姿勢をも育てるカリキュラムを開発・実施した平成20年度の活動に加え、平成21年度は天然海水使用への手法変更や、飼育方法のマニュアル改訂を行ない、より多くの高校にて成功実績を積み上げます。 - 科目間連携を考慮した教員研修(小中向け)
小中学校現職教員の観察・実験力を養成するために、特に科目間連携について意識したコンテンツを開発し、教員研修を実施する。平成21年度は、家庭科と理科の連結を考慮したカリキュラム開発・実施を行ないます。 - 理科観察・実験センターの整備
お茶の水女子大学内に理科観察・実験センターを整備し、地域の小中学校の教員研修・教員養成プログラム開発拠点として活用する。同時に、地域の小中学校のニーズに合わせて実験資材の貸し出しを行います。
名古屋大学
高校・大学連携理科教育の活性化と、高校・大学の円滑な接続、さらに高校生の独創性や国際性を高めるような指導方法の研究開発を目指しています。
この取組は、高校生にとっては、知的好奇心に支えられた学習又は進学への動機付けに、高校教員にとっては最先端の研究成果に関わることにより専門分野のスキルアップに、大学においては研究成果を活用した社会貢献につながるとともに、大学院生を参加させることにより、「教える」ことの難しさ、楽しさを経験する貴重な実践的機会になるものと考えています。
■平成21年度の取組
- 現在の高等教育の内容を踏まえつつ、特定分野の最新の研究成果、先端知について名古屋大学教員、大学院生、高校教員との共同作業により、高校理科教育の副読本的な位置づけで、ブックレットを作成します。
昨年度は、名古屋大学で学位を取られた、小林・益川両先生、下村先生がノーベル賞を受賞されたテーマを、現役高校生が理解可能なレベルでかつ知的刺激を受ける内容で紹介するDVD約30分を製作しました。本年度は、生物と地学からテーマを選び、「高校の理科教育補助教材」として、DVDを製作します。 - 名古屋大学教員と大学院生の協力により、高校教員と現役高校生が先端知に触れるような講義、討論会、研究を実施します。