共同検討授業 中2理科 「沸点」 検討会議

この会議では、

  • 五ヶ瀬町で木村教諭が実施した「沸点」に関する授業の後にその様子を撮影した動画を共有し、
  • 五ヶ瀬町の教育関係者がCoREFの拠点を訪れて

木村教諭が実施した授業各自が閲覧した後に授業について話し合いを行いました。以下に、やり取りの一部を紹介します。

羊飼いのような支援で

木村教諭 資料作りがおもしろい、そして大変という印象でした。子どもたちが学んでいる最中、私は羊飼いのような存在でした。子どもたちをあっちへ、こっちへと誘導するような形で活動しました。
三宅 エキスパートの終了3分前には声掛けをなさって「次のグループではあなたがこの資料を説明するのよ、あなただけだよ」ということを知らせていらした。
木村教諭 それは徹底して何度か繰り返しました。一度伝えても、違う活動をしているうちに子どもたちは忘れてしまうので
相田 授業中の雰囲気がよいと思いました。とにかく、学校が違う子ども同士が集まって話していても、お互いに思いやるという雰囲気が見て取れました。
斉藤 エキスパート資料と時間配分がキーなのですね。木村先生が時間をしっかり取ってくださったから、ジグソーへの展開も結び付いたのでしょう。ジグソーに移ってからの子どもたちはすぐに話し始めたようでした。
宮原 初めてジグソー活動をした子どもたちに「またやってみてもいいな」と思ってもらうということも大事だったと思います。動画を見ると、子どもたちは段々資料から目を上げていましたし、話し合いの声も聞かれて、全体的にジグソー初回として成果を上げていらしたように思いました。子どもが書いた感想を読んでも「楽しかった」という声が多く、次の活動につながると期待できます。
斉藤 感想を読むと、活動を楽しんでいたと思います。特に子どもたちが探究していく楽しさを見つけた様子が伝わってきました。子どもが書いた感想文の「とても難しくておもしろかった」という内容がそれを物語っていると思います。科学教育で体験してほしいことは、まさにそこなので。
音羽 議論に慣れていない日本の子どもが、よく話していたと思います。

学ぶための手助け

木村教諭 子どもが「水の三態変化」を持って、「これがキーになると思うんだけど、どうなんだろう」とい言ったので「いいこと言うね」と言いました。このように支援したらいいのでしょうか。
三宅 私でしたらどうするか考えてみますと、「これとこれを組み合わせてみたらどうなるかな?」「では、これとこれを組み合わせたら?」といったような投げかけをするかもしれません。こういう学びでは、「一番できる子が損をするのでは?」という話がよく出るのですが、そうではなく、言い換え・言い換え何度もしていることで一番得をしているのは意外とできる子です。「説明したな、疲れた~」と本人は思っている事が多いのですが・・・。先生がキレイに説明しても、相手は覚えていないものです。その場で自分が作った知識しか持ち帰れませんので。
三宅 それから、私たちは授業中にメモ用紙を配って学習中に考えている事を書いてもらったりして、外に見える形にしてもらいますので、学習の最中何が進んでいるのかということを目視しながら進めています。記録として取る用途だけでなく、学びの最中のデータが見える形になっていますので、これを見ると手助けする側にも役立つかもしれません

授業でめざすこと

木村教諭 今回の資料は、むしろ難しかったかもしれないという気すらしました。先生方に相談する前はもっと難しいものを作っていたのですが。まとめの時間がとれなかったことも残念です。
三宅 授業では、その場ですぐわかることが大切かというと必ずしもそういうことではなくて、これから学んでいくための疑問を発見したり、準備をしたりというようなことが、その場で教えてもらった学びより大事ではないかと思うんです。実際に大学生向けの講義をして、その後覚えているか調べたところ、これが覚えているのは数%という結果を得たりしています。
音羽 この学習では、どういったところを目指していますか?
木村教諭 理科ですから、沸騰するとか、そういう概念をわかってほしいです。協調学習で書く・話すというスキルも大事だと思いますし…。やりながら単元も勉強していくのがいいと思います。単元も、スキルアップも大事。メインはどちらも、といってもいいかもしれません。
三宅 どちらかといえば、私は内容理解と答えたいです。目的は話し合わせることではないですね。たとえば話題を「星の王子様」にしても、こういった理解へのやり取りはおきません。協調しながら解く甲斐のある課題を用意する必要があると思っています。